まぶたについて
まぶたは眼球を上下から覆う開閉式の器官で、上側を上眼瞼(上まぶた)、下側を下眼瞼(下まぶた)といいます。まぶたの役割には、「眼球の保護」、「光量の調整」、「視界の遮断」、「コミュニケーションの手段」などがあります。上まぶたのまつ毛の少し上には溝があり、二重になるまぶたを二重まぶた(ふたえまぶた)、溝の狭いまぶたを一重まぶた(ひとえまぶた)といい、溝がかくれてわかりにくいまぶたを奥二重(おくぶたえ)を呼びます。まぶたには、睫毛(まつ毛)と呼ばれる体毛があり、接触を感知すると睫毛を閉じるなどの反射が起こり、埃などの異物が目の中に入るのを防ぐ機能があります。まぶたは見た目にも大きな影響を及ぼす器官です。少しでも異常を感じたら眼科にご相談ください。
代表的なまぶたの病気
まぶたの腫れは、「ものもらい」「めいぼ」「めばちこ」などと呼ばれます。病気としては2つの種類にわかれます。「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」は、まぶたの一部が化膿して腫れたり傷んだりする病気です。「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」は、まぶたの中に分泌物が溜まり小さな固い腫瘤ができる病気です。痛みはありませんが、化膿すると麦粒腫と同じように腫れたり傷んだりします。「眼瞼内反症」もまぶたの病気です。まぶたが内側に向いていると睫毛が目の表面に当たり、異物感、まぶしさ、目やにが出るなどの症状が現れます。眼瞼下垂は、年齢とともに上まぶたを引き上げる筋肉が劣化したり、上まぶたの皮膚がたるんだりすると、視野を遮って見えにくくなるだけでなく、無理にまぶたを開けようとすることで疲労感が強くなったりします。これらの症状については、まずは専門医に相談することをおすすめしています。
霰粒腫
一般的に「ものもらい」と呼びますが、「ものもらい」には、細菌感染症による麦粒腫(ばくりゅうしゅ)と、脂肪が詰まって発症する霰粒腫(さんりゅうしゅ)に分けられます。まぶた内にあるマイボーム腺(分泌腺)が詰まってしまい、分泌液が溜まった状態が霰粒腫です。まぶたが腫れて、開けにくくなり、患部が大きくしこりとして触れることがありますが、痛みはほとんどありません。稀に炎症を起こしてしまうと、赤くなって痛みやかゆみが伴う急性炎症性霰粒腫となります。しこりが小さい場合は、自然治癒します。ただ、気になって触ったり、こすったりすると角膜や粘膜が傷ついて感染症のリスクが高まります。
霰粒腫の原因
まぶた周辺の不衛生によるニキビダニがまつ毛に住みつくことが原因の一つとされています。特に化粧をする女性に多く、コンタクトレンズ装用の方、にきびができやすい方も通常の方に比べると霰粒腫になりやすいと言われています。年代で見ると10代~30代の人に多く、夏や季節の変わり目に比較的多くみられます。
霰粒腫の治療
目の周りを清潔に洗浄することが最も重要です。かゆみや痛みがある場合は点眼を処方します。霰粒腫ができている間のコンタクトレンズ装用はお控えください。腫瘤が小さければ自然に吸収されることもありますが、大きい場合は副腎皮質ステロイド薬を注射したり、手術で摘出する必要がある場合があります。急性霰粒腫に対しては、まずは内服薬や点眼薬を処方します。炎症がある場合は抗生物質などで消炎をはかります。高齢者では悪性腫瘍との鑑別が必要であることもあり注意が必要です。
麦粒腫とは
一般的に麦粒腫のことを「ものもらい」と呼ばれています。マイボーム腺やまぶた外側・まつげ根元などが細菌感染して化膿することで、炎症・腫れが生じる状態が麦粒腫です。赤み・まぶたの腫れ・痛み・かゆみの症状が主な特徴です。その他の症状としては、目やにの増加、ゴロゴロする違和感、皮下に膿がたまる、膿が出るなどがあります。よくあらって清潔にすることが最も重要です。ものもらいができている間のコンタクトレンズ装用は中止してください。抗生物質の点眼や内服を行います。化膿が進んだ場合は、切開して膿を出すこともあります。汚い手で目をこすったりしないよう注意が必要です。
麦粒腫の原因
まぶた周辺の不衛生が原因と言われています。ほとんどのケースが黄色ブドウ球菌に感染することが原因です。免疫力が落ちた時などに感染しやすくなります。
麦粒腫の治療
原因のほとんどは黄色ブドウ球菌のため、有効な抗菌点眼薬や抗菌眼軟膏、抗生物質の点眼薬を中心に治療します。炎症が強い場合には、抗菌内内服治療を行います。また、痛みや腫れが強く化膿している場合は、小さく切開して膿を排出する処置を行うこともあります。治療中、症状が緩和しても自己判断で中断せず、医師の指示にしたがって点眼や内服期間を守ってください。治療は短期間で終了しますが、膿が出ていったん回復したように見えても、再発しやすく、重症化して大きく腫れることもよくあります。
麦粒腫とは、一般的に「ものもらい」と呼ばれる病気です。地域によっては「めばちこ」や「めいぼ」とも呼ばれたりもします。麦粒腫は細菌感染によって起こる炎症で、まぶたの一部が赤く腫れ、まばたきをすると痛むこともあります。その他にも、目がかゆい、目が赤い、目やにがでる等の症状が見られます。人に移るようなこともありませんが、まぶたの異変に気づいたら、お早めに眼科に相談しましょう。
麦粒腫の治療
麦粒腫の治療は、基本的に点眼薬や軟膏薬などの抗生剤を使います。症状がなかなか改善しない場合には、内服薬を用いることもあります。麦粒腫はおおよそ1~2週間ほどで治りますが、症状が重症化してしまった場合は、切開を行い、中に溜まった膿を排出させます。当院では炭酸ガスレーザーを使用しています。
アイシャンプー
眼科のドクターと目の健康のために開発されたまつ毛の3種類のアイシャンプーを取り扱っています。目の周り、まつ毛の根本は意外に汚れています。ドライアイやものもらいなどの眼疾病予防、花粉症などの目のかゆみや不快感、まつ毛に棲み付くまつ毛ダニ対策など目の清潔と健康のため、アイシャンプーを毎日の習慣におすすめしています。3種類すべてのアイシャンプーにおいて、1日2回の洗顔でマイボーム腺閉塞スコアの改善とまつ毛の伸張効果が報告されています。
ポイント1.眼科ドクターが開発
眼科のドクターと目の健康のために開発されたまつ毛のシャンプーを取り扱っています。
ポイント2.低刺激
涙の成分と同等のpH値、浸透圧です。目に入ってもしみにくく、デリケートな目元をしっかりと洗うことができます。
ポイント3.アイシャンプープロの販売をしています
アイシャンプーロングは、16種類のアミノ酸と3種類のセラミドが配合されたまつ毛美容成分をプラスされたスペシャルケアのアイシャンプーです。アイシャンプープロは、ヒアルロン酸と甘草エキスが配合されたベーシックタイプのアイシャンプーです。アイシャンプーリフレッシュは、目薬にも使われるメントールを配合しています。勉強や仕事中、すっきりしたい時、花粉の季節におすすめのアイシャンプーです。
眼瞼痙攣(がんけんけいれん)
自分の意思に関係なく、まぶたや目の周辺が勝手にピクピクと痙攣する状態を「眼瞼痙攣」と言います。まぶたの開閉機能に異常が起こっている状態で、50~70代の女性に多く発症するとされています。主な原因は、脳からの指令が伝わりにくくなることです。ほとんどのケースで両目に起こり、片目だけに症状がある場合は、顔面神経の麻痺が考えられます。さらに、眼の症状のほかに唇に痙攣が起こることもあります。
片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)とは
自分の意思とは関係なく筋肉の痙攣が起こりますが、顔の片側だけに症状が現れる病気です。眼瞼痙攣と違い、片側顔面痙攣は顔の左右どちらかにだけ症状が起こります。
発症が多いのは40歳代以上の方で、女性に多い傾向があります。
初期の症状では、片側の目のまわりがピクピク動きます。特に緊張した場面で起こるケースが多くなっています。
進行すると痙攣を起こしている時間が長くなっていき、頻度も多くなっていきます。痙攣する範囲も広がっていき、額や頬、口周辺、あごの下にも及ぶケースがあります。また、睡眠中に症状が現れることもあります。
痙攣がさらに重症化すると長時間の痙攣によって片側の表情がゆがんで引きつる、片目を開けられなくなるといった症状も現れます。
ボトックス療法について
眼瞼痙攣や片側顔面痙攣では、ボツリヌス療法が現在の治療の中心になっています。緊張状態の筋肉にボツリヌス菌の作り出す神経毒素を成分としたボトックス(製品名)という薬剤を注射することで筋肉の緊張を和らげ、痙攣を抑えます。
眼瞼痙攣や片側顔面痙攣に対するボツリヌス療法は、厚生労働省の認可を受けた施設や医師のもとでしか受けることはできません。当院は厚生労働省の認可を受けているため、保険診療として受けていただくことができます。
ほとんどの場合、治療効果は注射の2~3日後から現れはじめ、2~4ヶ月程度持続します。効果が高い確率で現れる治療法ですが、効果が数ヶ月で切れてしまうため、効果が薄れてきたら再び注射を受ける必要があります。ただし、注射のみですから治療時間が短く、副作用も比較的少ないため、日常生活への影響が少ない治療法だと言えます。
逆さまつげ
まつげのトラブルには、まぶたそのものが内側にめくれこんでいる眼瞼内反症、睫毛の生える向きが内側を向いている睫毛内反症、睫毛の生える位置がおかしい睫毛乱生症の3つがあります。いずれも、涙目、ごろごろした違和感、角膜に傷をつけた場合は、目の痛み、充血、感染症などを引き起こします。それぞれの、病態に応じた治療が必要です。
眼瞼内反症(さかさまつ毛)とは
まつ毛は本来、外側に向いて生えるものですが、眼瞼内反症は内側向きにまつ毛が生えている状態です。まぶたの縁が眼球の方に向かってめくれてしまう眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)も、眼瞼内反症の1種です。まつ毛が角膜を傷付けるため、眼科疾患を起こしやすく、視力にも影響してきますので、早めに治療を受けてください。
上下のまぶたでは下まぶたに発生しやすく、発症が多いのはご高齢の方です。
主な症状には、涙目、まばたきが多くなる、目の痛み、充血、目やに、異物感、不快感、まぶしさ、視力低下などがあります。
眼瞼内反症の原因
眼瞼内反症では、まぶたが内向きに変形しています。まつ毛の生え方自体には問題ありません。
まぶたの変形が起こる原因が先天性のものだった場合には、まぶたの皮膚に生まれつき厚みやたるみがある、皮下脂肪が過剰に多いなどによって起こっています。
後天性は加齢が最も多い原因になっています。まぶたの皮膚は加齢によってたるみますし、筋肉が衰えることで張りを失い、それによってまぶたの変形が起こります。加齢以外の原因では、ほかの病気などの影響によって起こるケースも存在します。
眼瞼内反症の治療
先天性の場合、乳児期にまぶたが内側を向いていても成長にともなってほとんどの場合、まぶたの向きが本来の方向に戻ります。
加齢によって起こる後天性の場合、根治には手術が必要です。内側に向いて生えたまつ毛を抜く、まぶたをテープでとめるなどの一時的な対処法もありますが弊害も多く、視力は日常生活に重要な影響を及ぼすため、根治できる手術を当院ではおすすめしています。
手術では埋没法や切開法、どのまぶたに行うかなど、患者様の状態に合わせて適切な方法を選ぶ必要があります。
埋没法
まぶたの皮膚に極小の穴を開け、そこに糸を埋め込んでその張りで皮膚をくぼませてまぶたを外向きにします。美容整形でも使われている手法で、上のまぶたのみ可能です。
切開法
言葉通り、まぶたの皮膚を切開して行います。余計な眼輪筋の切除や挙筋腱膜を縫い縮めるなどを行い、切開部分をしっかり縫い合わせてまぶたを外向きにします。切開法は上下どちらのまぶたにも行えます。
埋没法は切開しないので術後の回復が早く、切開法は元の状態に戻りにくいという特徴がありますので、そうした点も考慮しながら手術法を決めることが重要です。どちらの手術も局所麻酔で行い、20~30分程度の所要時間ですから、日帰りで受けていただくことが可能です。
眼瞼下垂
上まぶたが垂れ下がっている状態を眼瞼下垂症と言います。視界が狭まるために、目を開けようと額のしわが寄ったり、二重幅が広くなったりという症状が見られます。目を大きく開いていても眠たそうに見られる場合は、眼瞼下垂かもしれません。眼瞼下垂は先天性・後天性と2つに分類されます。
眼瞼下垂症の原因
老人性下垂 | 加齢に伴ってまぶたの筋力が衰えて、皮膚が垂れ下がります。 |
---|---|
コンタクトレンズ下垂 | ハードコンタクトレンズの長期使用によって発症します。 |
先天性下垂 | 生まれつきまぶたの筋力が弱く、皮膚が垂れている状態です。 |
その他 | アトピー性皮膚炎、眼の手術、神経疾患、メイクなどの影響によって皮膚が垂れさがります。 |
眼瞼下垂症の症状
- 目が細くなる
- 眠たそうに見える
- 上まぶたが瞳にかかり視野が狭くなる
- 額にしわが寄り、深いシワができている
- 気づくと険しい表情をしている
- 眉毛の位置が前よりも上がった
- 慢性的な頭痛がする
- 首や肩がこる
眼瞼下垂症の治療
点眼治療や内服治療では改善できないため、手術治療を行います。下垂解消のために、皮膚の一部分を切除する治療と、上まぶた筋肉を短くする治療があります。日帰り手術は執刀症例数の多い眼科専門医が行いますたしますのでお気軽にご相談ください。